第433章

 リオは星谷清美の手首を、骨が軋むほどの力で鷲掴みにした。

「行くぞ!」

 彼の声には隠しきれない怒気が滲んでいる。一刻も早く、この恥さらしな場所からずらかりたいという焦りが透けて見えた。

「嫌!」

 星谷清美は猛然と彼の手を振り払う。

 あろうことか、彼女は退くどころか前へと踏み出し、レストランの柔らかな照明が降り注ぐ中央へと、その身を踊り出させた。

 次の瞬間、彼女の目元が赤く染まる。まるでスイッチが入ったかのように、大粒の涙がぽろぽろと零れ落ち始めた。

 悔しさに震える肩、潤んだ瞳。その一挙手一投足が、千回ものリハーサルを重ねたかのように完璧に計算されている。

「星谷由...

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