第529章

南極へ向かって落下していたあの衛星が、結局、地上に激突することはなかった。

指揮センターのモニター上、その機体を示す赤い光点は、大気圏突入の一秒前、ただ一度だけ瞬き――そして、忽然と姿を消した。

爆炎も、機体が砕け散るシグナルも、何もない。

まるで宇宙空間に潜む何者かが、見えざる手を伸ばし、それを軽く拭い去ってしまったかのように。

センター内を支配したのは、死ごとき静寂だった。誰もが平静を取り戻した監視エリアを凝視し、背筋には冷や汗がとめどなく伝う。

それは天地を揺るがす爆発よりもなお、深い恐怖を刻み込む光景だった。

あれは攻撃の失敗などではない。

あれは――警告だ。

……

...

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