第70章

「天宮社長、こんな夜更けに子供を騙さないで。仕事が待っている」

星谷由弥子は昨夜のことを急に思い出し、頬に徐々に赤みが差してきた。

「拓海、いい子にして。お父さんにまとわりつかないで。仕事があるの」

「今日は仕事はない」天宮和人は星谷由弥子の動揺に気づき、なぜか彼女のこれからの反応が見たくなった。「もう寝る時間だ。休むべきだ」

「……冗談でしょう!」星谷由弥子は作り笑いを浮かべながら言った。「あなたはいつも書斎で夜を過ごしていたじゃない?」

「ああ、言い忘れていたが、しばらくの間は寝室に戻ることにした」

お爺さんは絶対に彼を簡単には許してくれないだろう。

「だめ!」星谷由弥子の...

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