第92章

彼は自分の身分を明かせば問題なく通れると思っていたが、結果的には受付のお姉さんに一歩も先に進めないように阻まれた。

「申し訳ございませんが、ご予約なしでは天宮社長にはお会いいただけませんよ」

その言葉を聞いて、星谷清彦は思わず文句を言った。「小さな会社のくせに規則ばかり厳しいな。別に会わなくてもいいよ、天宮和人をここに呼んでくれ」

彼は天宮グループを全く眼中に入れていなかった。

天宮和人がそれほど凄いと噂されているのは、単に良い家柄を持っているからであって、本人には何の能力もないのではないか。

そう考えると、星谷清彦の態度はさらに大胆になった。

彼はフロントデスクを回り込み、勝手...

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