第112章

鷹司蓮矢は後部座席にもたれ、首をだらりと傾けていた。目の奥には赤い血走りが浮かび、酒気と混じって、どうしようもなくみっともない。

その言葉を口にした瞬間、瞳にうっすらと靄がかかる。まるで捨てられた大きな犬みたいに。

日向雫は彼の目をまっすぐ見返し、静かに言った。

「私たちの結婚は、最初から間違ってた」

日向雫が鷹司蓮矢を知って、十二年になる。

初めて会ったときから――無口で、格好いいその少年が好きだった。

ずっと彼のあとを追いかけてきた。たった一度でいい、振り向いてほしかっただけなのに。

もし、こんなに苦しい結婚になると早く知っていたら。どれほど好きでも、あの檻の中には自分から...

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