第113章

病室には二人きり。空気はしんと静まり返り、機器の電子音だけがやけに耳についた。

日向雫は椅子を引いてベッド脇に腰を下ろし、鷹司蓮矢の眠る顔をじっと見つめた。

長い睫毛。いつもはきつく張りつめている顎の線も、今は力が抜けている。鋭さが薄れ、そのぶん、ひどく無防備で脆く見えた。

鷹司蓮矢はあまり寝相がよくないらしく、何度か身じろぎして布団を乱した。

日向雫は立ち上がり、布団の端をそっと整える。すると、指先が不意に彼の手の甲へ触れた。

その瞬間、鷹司蓮矢がいきなり彼女の手を掴み、自分の胸元へ引き寄せた。

「雫……」

日向雫は引き抜こうとしたが、眠っているはずなのに、その力はぞっとする...

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