第21章

前田由紀子は素早くスマホの電子契約書を開き、画面の上で指を止めることなく操作すると、そのまま著作権料を45%引き上げた。

「これでやっと妥当でしょ! 待ってて、今すぐ印刷してくるから。さっさとサインしちゃおう!」

言い終わるや否や、彼女はバッグをひっつかんで慌ただしく外へ駆け出した。スカートの裾がテーブルをかすめ、小さく風を巻き起こす。

カフェのガラス扉を、ぎいっと勢いよく押し開ける。あまりに急いでいたせいで、入ってきた相手にぶつかりかけた。

渡辺夏央はとっさに雨宮静佳を抱き寄せてかばい、空いた手で前田由紀子を乱暴に突き飛ばした。声も刺々しい。

「目ぇついてんのかよ」

前田由紀子...

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