第22章

視線がぶつかった瞬間、空気そのものが刃になって肌を削る。息をするだけで痛い――そんな張りつめた沈黙。

「お前、何様だよ。蓮矢さんに向かってその口の利き方!」

渡辺夏央が逆上し、二歩踏み込んで坂本時佐の鼻先を指さし怒鳴りつけた。

H市で鷹司蓮矢の名を知らない者がいるだろうか。

鷹司家が一度は落ち目にあったとしても、面と向かってここまで噛みつける人間などいない。

渡辺夏央にとって鷹司蓮矢は兄貴分だ。外野に好き勝手させるわけがなかった。

だが、坂本時佐はまぶたすら上げない。

それが完全に火に油だった。渡辺夏央は首元のボタンを外し、袖をまくる。

「今日は痛い目見せてやる。これで黙らせ...

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