第37章

次の瞬間、雨宮静佳がふいに顔を横へ向け、階段下を素早く一瞥した。

それからだった。

彼女はぐらりと上体を反らし、両手を宙でばたつかせて、いかにも足を滑らせたかのような仕草を作る。次いで、そのまま――まっすぐ階段を転げ落ちていった。

日向雫は咄嗟に口を押さえた。喉の奥から押し殺した悲鳴が漏れ、瞳孔が極限まで縮む。

――自分で、飛び降りた……?

どうして。

理解できない。

あの子は、雨宮静佳にとって一番確実な切り札のはずだ。

それなのに彼女は、切り札を自ら燃やし、あんな凄惨な形で罪をなすりつけた――

ただ、鷹司蓮矢の傍から自分を追い払うために?

代償が大きすぎる。筋が通らない...

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