第40章

車は旧邸の門前に、すっと安定して停まった。

日向雫がシートベルトを外した、そのときだった。門の内側から、ゆっくりと二つの人影が歩いてくる。

雨宮静佳が鷹司の母の腕を支えていた。細い身体は風が吹けば折れそうで、顔色は紙みたいに白い。そのぶん、潤んだ瞳だけが妙に痛々しく映る。

鷹司蓮矢はドアを開けかけた動きを止め、明らかに一瞬固まった。

「……どうして病院で大人しく休んでない」

雨宮静佳は唇の端に、かろうじて柔らかな笑みを作る。羽のように軽い声。

「病院で、祖父さまの容体が重いと聞いて……どうしても落ち着かなくて。お顔だけでもと思って参りました」

鷹司の母は親しげに雨宮静佳の手の甲...

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