第42章

祖父は彼女をちらりと見やり、穏やかな口調のまま、揺るがぬ威厳をにじませた。

「雫は鷹司家の奥様だ。家のことを取り仕切るのは、本来の務めだろう」

「それに、雫は芸術を学んできた。審美眼もあるし、品もあって、気もよく回る。お前みたいに金を無駄にするばかりの者より、ずっと適任だ」

「お義父さん!」

鷹司の母は不服そうに言い返しかけたが、祖父のひと睨みでぴたりと黙らされた。

日向雫もまた、きょとんと目を瞬かせる。反射的に辞退しようとした。

「わ、私……こういう宴を取り仕切ったことなんてなくて。うまくできるか――」

鷹司家に嫁いで五年。

対外的な催しごとに、彼女が関わることは一度もなか...

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