第57章

白石先生は扉のほうへ目を上げ、少し声を張った。

「鷹司さん、ご安心ください。大事には至っていません。いまはこの方と、今後の手のケアについて話しているところです。もうすぐ終わりますよ」

「それならよかった」

鷹司蓮矢がほっと息をつく気配がした。

「白石先生。彼女の手が治るなら、金はいくらかかっても構いません」

言葉の端々に、隠そうともしない気遣いがにじんでいる。

日向雫はもう、何も感じなかった。

夫婦のもつれに踏み込むのは、白石先生の役目ではない。

内心では気が急いて仕方なかったが、だからといって日向雫に無理強いもできない。

彼は名刺を一枚取り出すと、そこに自分の携帯番号とL...

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