第58章

雨宮静佳はスマホの画面を消した。黒いガラスに映った自分の口元には、氷みたいに冷えた笑み。

鷹司のお母さんは、私を都合よく使うつもり?

いいよ。

じゃあ――どっちが「刃」になれるか、試してみようじゃない。

雫はスマホを軽く揺らし、きっかり五分待ってから、鷹司のお母さんに返信した。

さらに十分。

鷹司のお母さんから返ってきたのは、短い一言だけ。

『あなたの言う通りにする』

……

鷹司家の旧宅。

日向雫はおじい様を寝かしつけてから、寝室へ戻った。

ドアを開けた瞬間、暖色のスタンドライトがふわりと視界に差し込む。雫はわずかに息を止めた。

鷹司蓮矢がいる。

「雨宮静佳のところ...

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