第60章

メリーゴーラウンドの近くまで来たところで、カメラを構えた若い女の子が小走りに近づいてきた。

「すみません、ちょっといいですか? 私、旅系のヨーチューバーなんですけど、さっき遠くからお二人が見えて、めちゃくちゃ美男美女だし雰囲気もお似合いで……よかったらツーショット撮らせてもらえませんか? 一枚だけ! お時間取らせません!」

「ツーショット……?」

日向雫はその場で固まった。

鷹司蓮矢と結婚して五年。二人で写った写真は、婚姻届に貼ったあの赤い背景の、硬い表情の一枚だけ。

それ以外は、寄り添って同じフレームに収まるどころか、彼を単体で撮ることすら――雫にとっては贅沢だった。

反射的に...

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