第65章

日向雫はレンタル自転車を見つけると、倉庫のある方角へひたすらペダルを踏んだ。

進むにつれて通行人はまばらになり、周囲はどんどん人気のない場所へ変わっていく。

ほどなくして、豆粒みたいな雨が叩きつけてきた。ぱらぱら、いや、もうばちばちと容赦なく。

雫は髪も服も、雨に好き放題濡らされるしかなかった。

冷たい雨が頬を伝って落ち、視界をにじませる。傷口も、じわりと疼く。

彼女はさらに速度を上げた。路面の水たまりは深くなり、靴の中まで浸水する。冷えた感触に、思わず肩が震えた。

どれくらい走っただろう。

ようやく、あの倉庫が見えてくる。

大きな扉は半開きのまま。中は真っ暗で、吸い込まれそ...

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