第80章

車が新田朱音の住むアパートの前に停まった、その瞬間だった。ポケットのスマホがけたたましく震えだす。

画面に踊っていたのは、会社の上司の名前。

――嫌な予感。

朱音は胸がひゅっと縮み、慌てて通話ボタンを押した。

「高村さん、どうされました?」

「朱音……」受話口の向こうの高村の声は、やけに重かった。「さっき会社から通達が出てな。君を解雇しろって」

「……え?」

次の瞬間、朱音の耳に雷でも落ちたみたいに、言葉が突き刺さった。

「な、何ですか!? どうして……私、何もしてません! 高村さんだって、この先は私を重点的に育てるって……それなのに、いきなり解雇だなんて」

高村は深く息を...

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