第97章

「これから先、コスモスみたいに生きて。海外でどんな苦労にぶつかっても、強く根を張って、ちゃんと自分だけの幸せを見つけられますように」

檜山星乃は絵を受け取ると、そこに描かれたコスモスを見つめ、それから日向雫の瞳の奥にある優しさと揺るがぬ強さを見た。次の瞬間、ぱっと目元が潤む。

それが彼女にとって、芸術の持つ癒やしの力に初めて真正面から打たれた瞬間だった。

心の奥に深く残っていた傷が、そっと撫でられるみたいに和らいでいく。絶望も、やり場のない悔しさも――たった一枚の絵の中で、少しずつ溶けて消えていった。

「ありがとう」

檜山星乃は絵をぎゅっと抱きしめた。まるで、沈みかけた自分を救って...

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