第99章

雨宮静佳は鷹司蓮矢のスーツの袖口をぐいとつかんだ。

「蓮矢! 檜山社長を危ないところから助けたのは、どう見てもあんたでしょ。手柄は全部あんたのものじゃない! それなのに、このまま行かせる気?」

鷹司蓮矢は雨宮静佳の言葉に取り合わず、護衛に取り押さえられている平井海をちらりと見た。その瞳が、すっと冷たくなる。

「ここはお前に任せる。俺は先に警察へ連絡する」

「蓮矢さん、ここは任せてください!」

不意に渡辺夏央の声が飛んできた。足早にこちらへ歩み寄ってくる。

「雨宮静佳の言うとおりです。檜山社長は昔から情に厚い人だ。今日の命の恩は、きっと心に刻むはずです」

渡辺夏央は鷹司蓮矢を見や...

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