第6章

マンションのドアを閉めた途端、スマホが執拗に震え始めた。立て続けに十数件のメッセージが流れ込み、すべて佐藤理沙から送られてきたリンクだった。

「ミサエ、大変なことになったわ」

佐藤理沙のボイスメッセージには焦りが滲んでいた。

「『声優の本性』のメイキング映像が流出したの」

リンクを開くと、編集された動画だった。画面の中では、江戸未来が審査員席の前で滂沱の涙を流しており、一方の私は審査員席に座り、冷たい表情、それどころか嘲笑うかのような微笑みすら浮かべている。これは完全に文脈を無視した切り貼りで、私を冷血で辛辣な審査員に仕立て上げていた。

「2ちゃんねるの掲示板はもっと酷いわ」...

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