第10章 記者

マイクが、夏目千尋の顔面すれすれまで突きつけられていた。

夏目千尋の頭は真っ白になる。

反射的に手で顔を隠し、よろめくように二歩、後ずさった。

ソファに座る神崎雅臣は、今にも怒気が滴り落ちそうなほど顔色が暗い。

「誰の許可で入った」

だが記者たちは、むしろ興奮を増したように食いついてくる。

「神崎社長、この女性はバスローブ姿ですが、さきほど中で何をしていたんですか?」

「神崎社長、こんなことをして株価に影響が出るとは思いませんか?」

夏目千尋は壁際まで追い詰められ、もう一歩も下がれない。

フラッシュが狂ったみたいに焚かれる。

彼女はバスローブの襟元をきつく掴み、全身を小刻...

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