第12章 満足させられない

夏目千尋は、その一言にじわじわと頭が真っ白になった。

我に返った瞬間、耳の付け根までさっと熱が走る。

信じられない。

星盛グループの社長が、目の前で、しかもやけに真面目な顔をして――彼女の夫が「できるのかできないのか」なんて話をしている。

しかももっと荒唐無稽なのは、こき下ろされたその夫が、ほかでもない神崎雅臣本人だということだ。

……この男、どこかおかしいんじゃない?

自分のことまで罵るって。

夏目千尋は顔を背け、拳を唇に当てて強く咳払いした。胸の奥で暴れ出した滑稽さを押し込める。

「神崎社長」

改めて視線を合わせ、声を整える。

「それは社長には関係ありません。夫の体調...

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