第16章 スカートが破れた

短い数文字なのに、有無を言わせない圧があった。

夏目千尋はその一行を見つめ、思わず固まる。

三年――結婚した途端に彼女を国内へ置き去りにし、見向きもしなかった男が、ようやく「会う」と言ってきたのだ。

三上奈菜のために席を空ける。だから一日たりとも待てない――そんなところだろう。

けれど、形見はまだ取り戻せていない。いま顔を出せば、きっと離婚協議書にサインを迫られる。

どうする……?

千尋は俯き、頭の中で言い訳を高速で組み立てながらも、足だけは止めなかった。

角を曲がった、その瞬間。

肩がどん、と誰かにぶつかる。

半歩よろけて体勢を立て直す前に、耳元で「ビリッ」と嫌な音がした...

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