第21章 駄目なら黙れ

夏目千尋は途端に後ろめたくなった。

「……じゃあ、どうしろっていうの」

葉山心菜が意味ありげに笑う。

「さあ。私も詳しくは知らないけど、前に従兄を怒らせた人の会社は、J市から跡形もなく消えたって話」

それを聞いた瞬間、夏目千尋の背中に、ぞわっと冷たい汗がにじんだ。

遅刻したくらいで、夏目家にまで手を出してくる……?

もしそうなったら、母のものはどうなるの。

しばらく雑談を続けても、胸のざわつきは増すばかりだった。結局、彼女は腰を上げる。

「私、先に帰るね。会社のほう、まだ用があって」

葉山心菜は名残惜しそうに玄関まで見送りながら言った。

「今度ごはん行こうよ。約束ね、絶対...

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