第218章 アレルギー

夏目千尋は男に抱きすくめられた。男特有の澄んだ匂いに、かすかな煙草の香りが混じって、ふわりと鼻先をくすぐる。

さっきの馬鹿げた光景が、脳裏にぶわっと蘇った。

「神崎雅臣、ふざけないで!」

千尋は彼の胸を力いっぱい押し、無理やり腕の中から抜け出す。

二歩、後ろへ。距離を取った。

罵ってやろうと口を開きかけた、その瞬間――視線が神崎雅臣の顔に落ちて、声が喉で引っかかった。

頬から首筋にかけて、目に見える速さで赤くなっていく。

呼吸まで、荒く重くなっていた。

「その顔……」千尋は彼の首を指さし、眉をきつく寄せる。「どうしたの?」

雅臣は首に手をやる。

指先が触れたところは、じり...

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