第25章 神崎雅臣に会う

エレベーターの扉が開いた瞬間、鳴海奏斗は身を引いて道を空け、「どうぞ」と手で促した。

夏目千尋は迷わず足を踏み出す。

汐見千由美がぴたりと背後につき、片手で千尋のスカートの裾を握りしめて離さない。指先が白くなるほどだ。

9階の廊下は、下の宴会場よりずっと薄暗い。壁には暖色のブラケットライトが等間隔に埋め込まれ、ふかふかの絨毯が足音を吸い込む。防音も効いているのか、廊下の突き当たりからはサイコロがぶつかる乾いた音だけが、かすかに漏れてきた。

鳴海奏斗は先頭を、焦らず急がず歩く。ときどき横顔だけで千尋を窺うように振り返った。

廊下には三、四人ずつ固まって立つ連中がいて、酒を手に壁へもた...

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