第34章 仮面を引き剥がす

松本文子は冷笑を漏らし、視線を夏目千尋から外さない。

「当然でしょ。前は私、彼女の学科長だったんだから」

浅野天は訳が分からないという顔で、松本文子と夏目千尋を見比べた。

夏目千尋はその場から動かない。

松本文子が自分を覚えていること自体は、別に不思議じゃない。

三年のとき、メディア学科の年間表彰で、夏目千尋の作品が最優秀賞を取った。

ところが結果が公示された翌日、なぜか取り消され、別の学生の作品に差し替えられた。差し替え先は、松本文子が指導していた院生の作品。

夏目千尋は原稿を抱えて抗議に行った。すると松本文子は、研究室一同の前で言い放ったのだ。

『あなたの作品は盗作の疑い...

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