第101章

ナオミは全身を強張らせた。空手の心得がある彼女にとって、ここで荒事になること自体は恐れるに足りない。だが、相手は巨漢の男が二人。加えてここは、敵とも言える顕貴(けんき)の縄張りだ。

もし一条伸司が増援を呼べば――。

立花柚月が口を開こうとしたその時、人垣が割れ、西園寺蓮が悠然と姿を現した。

長身で、端正な顔立ち。

「遠くからでも、何やら揉めているのが聞こえましたよ」

その姿を見て、立花柚月は心の底から安堵した。

一条伸司は、笑っているようで笑っていない表情を浮かべた。

「おや、西園寺蓮じゃないか。久しぶりだな。いや何、美女二人を酒に誘っただけなんだがね。どうも誤解されたらしく、...

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