第164章

しかし、立花柚月がその件を深く考える間もなく、日登未央から電話がかかってきた。

「園田タカシを見つけたわ」

「どこで?」

柚月は眉をひそめた。あの男は長いこと行方知れずだ。もしかしたら既にこの世にいないのではと疑ったことさえある。だが思い直す。あの臆病で卑怯な男が、自ら命を絶つなどあり得ない話だ。

「ある団地よ。奇遇なことに、園田麻衣もそこに住んでいるの」

コーヒーを口に運ぼうとしていた柚月の手が、ふと止まった。

「つまり、園田麻衣が兄を匿(かくま)っているということ?」

「断言はできないけど、園田麻衣が園田タカシの居場所を知らないというのは、さすがに無理があるわね」

未央も...

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