第165章

男はナンパを続ける様子こそなかったが、すぐ隣の席に陣取ると、ねっとりとした視線で立花柚月を凝視し始めた。

居心地の悪さに耐えかねた立花柚月は、助けを求めるように日登未央を見た。

日登未央は即座に二人の間に割って入った。

「すみません、あちらの席で飲んでいただけませんか?」

男はだらしなく笑った。

「なんで? ここは君たちの貸切席か何かなの?」

日登未央の表情が凍りつく。

その時、横から伸びてきた腕が彼女の腰を抱き寄せた。振り返ると、そこには端正な顔立ちの男がいた。

——灰原ケイだ。

立花柚月が挨拶しようと口を開きかける。

灰原ケイは人差し指を唇に当...

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