第168章

立花柚月は、またしても調子を狂わされていた。

昨晩の一件以来、どうにも西園寺蓮の接近に抗えない自分がいる。彼との距離が縮まるたび、あの夜の熱に浮かされた記憶が鮮明に蘇ってしまうのだ。

西園寺蓮は、そんな彼女の攻略法を完全に見出したようだった。

あからさまな色仕掛け。柚月が拒めないのをいいことに、彼は必要以上に距離を詰めてくる。

唇が触れるかと思ったその瞬間、彼はふいと顔を逸らし、熱い口づけを耳朶に落とした。

「今夜も……泊めてくれないか?」

立花柚月は唇を舐めた。喉が焼けるように渇いている。彼の方に回した手は、突き飛ばすべきか引き留めるべきか迷ったまま、行き場を失っていた。

「...

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