第170章

立花柚月と西園寺蓮が戻ってきたのは、ちょうどその言葉が落ちた時だった。沙耶は答えず、二人も足を止める。

実のところ、柚月もその答えを知りたかった。普段は自分が問いかける側だ。子供心に気を遣って、母親の前では本音を隠しているのかもしれない。

だから、彼女はすぐには割って入らなかった。

沈黙の中、沙耶の幼い、けれど確固たる声が響いた。

「イヤ。ママと一緒がいい」

西園寺理穂は諦めきれない様子で食い下がる。

「じゃあ、パパとは一緒にいたくないの?」

「今は一緒にいるよ?」

沙耶には理解できなかったし、納得もできなかった。

「どうしてパパとママ、どっちか選ばなきゃいけないの?」

...

ログインして続きを読む