第186章

化粧室。

園田麻衣は鏡に向かい、荒い息を吐いていた。

鏡に映る自分の顔は蒼白で、額には冷や汗がびっしりと浮かんでいる。

彼女は蛇口をひねり、冷水をすくって必死に頬を叩いた。だが、胸の奥からせり上がってくる恐怖は、どうしても抑え込めない。

あの言葉、あの暗示、そしてあの調子外れの歌……。

立花柚月は、警告しているのだ。

もし、山口稔が疑い始めたら……。

いや、疑わせてはならない!

園田麻衣は無理やり自分を落ち着かせ、鏡に向かって化粧を直し始めた。

あの『翡翠の根付』さえ「失くした」ことにすればいい。直接的な証拠がない限り、自分はあくまで山口稔の「命の恩人」なのだ。

それに立...

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