第257章

西園寺蓮の長身が入り口に立ち塞がり、背後にいる黒田大河の視界を完全に遮っていた。黒田からは病室のベッドに横たわる翔の姿は全く見えないが、子供の声だけは耳に届いていた。

翔はすでに目を覚ましており、首を巡らせて西園寺蓮を見つめた。

西園寺蓮は優しく微笑みかけた。

「父さんが翔の好きなものを買ってきたよ。少し食べてみるかい?」

「うん」

翔はぱあっと目を輝かせた。普段は大人びているこの子も、重い病に伏せっている時にだけ、子供特有の無邪気で愛らしい一面を見せるのだ。

「ありがとう、お父さん」

その声は、この上なくはっきりと、そしてよく響いた。

西園寺蓮は背後の男を振り返ろうとはしな...

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