第110章

「ただ、ケガのリスクが人より少し高いだけで……別に難病ってわけじゃないんだろ」

天城澪は俯いたまま、何も言わなかった。

いま彼女が気にしているのは、子どものことなんかじゃない。

そんな澪を見て、九条裕也は小さく息を吐き、そっと抱き寄せた。

「澪。うちは金ならある。子ども一人、まともに育てられないわけないだろ」

「……でも、お前が産みたくないなら無理はさせない。俺は、澪がちゃんと元気でいてくれればそれでいい」

その言葉に、ささくれていた澪の心が、ほんの少しだけ落ち着く。

九条裕也は、まだ自分を大事に思ってくれている。

――変に疑って、失うのを怖がってばかりじゃだめだ。

澪はそ...

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