第125章

九条裕也は険しい顔のまま車内の救急箱を取り出し、碘伏を手にして彼女の傷口を丁寧に消毒しはじめた。

天城澪の胸の奥が、じわりと酸っぱくなる。

わかっている。九条裕也は、本気で自分を気にかけている。

けれど――その「気にかけ方」が、外川絢那へのそれを上回るのかどうか。澪には確信が持てなかった。

九条和也が小野詩織と曖昧な関係だと知ったとき、澪は迷わず背を向けた。

なのに九条裕也を前にすると、どうしても同じように割り切れない。

「平安京大内プロジェクトが終わったら、俺たちのことを公にする」

消毒を続けながら、裕也が低い声で言った。

澪は目を瞬かせる。

……どうして、今その話?

...

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