第131章

天城澪は足早にその場を離れた。

口では「気にしてない」と言い張っても、外川絢那の言葉が、ふとした拍子に頭の中へ浮かんでくる。

――そういえば。

九条裕也の書斎には、鍵のかかった引き出しがひとつあった。

以前、開けてみようとしたことがある。けれど、その瞬間に九条裕也が止めた。

「まさか、あの中に……ブレスレットが?」

天城澪は小さく呟く。

もし外川絢那の言う通りなら――ブレスレットの持ち主が戻ってきた時、九条裕也は迷いなく自分と離婚するのだろうか。

そう考えた途端、天城澪の瞳はすっと陰った。

――高橋家。

高橋誠一と高橋雅子は、向かい合って座っていた。

「最近、海外の会社...

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