第170章

小野隼人は頷いた。

「そうだ。もう九条裕也に、いいように振り回されるな」

「それにね、あなたはいつだって小野家の娘なの。これからの小野グループは、あなたと隼人が背負うんだから。早めに戻って、会社の流れに慣れておくのも悪くないわ」

小野雪絵が、最後にいちばん言いたいことを口にする。

二人は息ぴったりだった。算盤の玉が、今にも天城澪の顔に飛んできそうな勢い。

澪だって、心が動かないわけがない。

そもそも九条裕也との結婚を選んだのは、息ができる場所が欲しかったからだ。自分の仕事を伸ばし、自分を強くするための時間と空間。

そして今、その目的は――ある程度、果たせてしまっている。

結婚...

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