第172章

鴨のように無理やり舞台へ放り上げられた天城澪は、小野グループ社内に、これほど仕事が山積みだとは思ってもみなかった。

入社してまだ半日。胸の奥がぎゅっと詰まり、息が浅くなる。

机の上に積まれた、経理から回ってきた資料の手配表と報告書を閉じると、澪は肩を回してから、その報告書を手にフロアへ出た。

「戒田。これ、山荘建設の資料と報告書。下に回して、実行に移して」

戒田は受け取るなり、ざっと目を走らせただけで言い放った。

「この資料、問題ありますね」

――つまり、澪の判断に異を唱えている。

澪は衝突を避けたくて、声を落ち着けたまま説明する。

「この案件の担当デザイナーは私です。施工の...

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