第175章

彼女はもう一度、渾身の力でドアに体当たりした。だが外側からがっちり押さえ込まれていて、びくともしない。

天城澪の表情が沈む。

さっきの男は明らかに準備していた。きっとしばらく前から自分を見張っていて、ここぞという隙を突いてきたのだ。

反射的にポケットを探る。――空っぽ。

出るとき、スマホは机の上で充電したままだった。

天城澪の顔から血の気が引く。彼女はドアを叩きつけ、声を張り上げた。

「誰か! 誰かいませんか!」

返ってくるのは、虚ろな反響だけ。

叫び続けて喉がひりつくほどになっても、助けは来ない。声を出せば出すほど、この狭い空間の静けさだけが際立っていく。

やがて声すら出...

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