第26章

一方――。

天城澪は朝早くから迎えの車でメイクルームへ連れて行かれ、最新シーズンのオートクチュールを身にまとった瞬間、鏡の中の自分を落ち着かない目で見つめた。

……誰?

自分なのに、ほとんど判別できない。

ここまで大げさにしなくてもいいんじゃ――。

約束の時間ぴったりに九条裕也が迎えに来た。いつも冷えたように沈んでいる双眸が、この瞬間だけはわずかに揺れる。

――やっぱり、似合う。

「叔父さま……」

鏡越しに彼の姿を捉えた途端、澪はますます手足の置き場がわからなくなった。声まで強張ってしまう。

「綺麗だ」

九条裕也は普段より眉目を和らげ、迷いなくそう言った。

褒め言葉は緊...

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