第34章

その名前を耳にした瞬間、九条和也は堪えきれずに爆発した。

小野詩織はびくりと肩を跳ねさせ、次いで彼の言葉に目を丸くする。

「澪さんが結婚? 誰と……?」

そう口では驚きながら、胸の奥では小さく快哉を叫んでいた。

どうせ天城澪が適当な男を捕まえて籍を入れただけだ。なら九条和也が彼女に完全に見切りをつけるのも時間の問題――。

だが九条和也は酔いで思考が鈍っているのか、乾いた笑いを漏らしただけだった。

「そうだよ。お前も想像してなかっただろ。あいつ、九条裕也と結婚しやがった」

――よりにもよって。俺がいちばん嫌いな男と。

小野詩織の表情が、ぴたりと固まる。

「九条裕也……!?」

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