第51章

箸を置いた天城澪は、首だけをひねって九条裕也を見た。眉間に小さく皺を寄せ、疑うように口を開く。

「……昨夜、誰があなたに薬を盛ったの?」

九条裕也ほどの立場の人間に、そんな無茶をする奴がいるのか。

命が惜しくないのか。

九条裕也は瞳をわずかに細め、さらりと受け流した。

「うっかり、飲み物を間違えただけだ」

――あれが自分で飲んだものだなんて、澪に言えるはずがない。

天城澪は納得しきれない顔で彼を見つめたが、深追いはしなかった。紙ナプキンを一枚取り、口元をそっと拭う。

「ごちそうさまでした。仕事に戻ります」

昨夜の話題を、これ以上ここで続けたくない。

そう言い残すと、天城澪...

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