第72章

天城澪は九条裕也に付き添ってひと通り挨拶を終えたところで、さすがに疲れが顔に出ていた。

同じ部屋で暮らすようになってからというもの、どうにも落ち着かない。慣れない空気に、体の芯がじわじわと重くなる。

「裕也……ちょっと、疲れちゃった」

澪は裕也の腕に絡みつき、そのまま体ごと預けた。

裕也も、この数日まともに休めていないことをわかっている。九条賢治にひと言断ってから、澪を連れて二階へ上がった。

その様子を、九条和也が見ていた。

誰にも気づかれないように、和也もそっと二階へ続く。

「裕也、ここ……本家なのに……」

階段を上がった瞬間、甘く柔らかな澪の声が耳に入った。裕也に甘える声...

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