第74章

天城澪は笑って答えた。

「他に何があるの。九条和也のことに決まってるでしょ」

九条和也の名が出た瞬間、九条裕也の目がすっと冷える。

その変化に天城澪はもちろん気づいていた。だからこそ、軽い調子で言い添える。

「九条和也を小野詩織と婚約させたいんだって」

「でも九条和也が首を縦に振らなくて。高橋雅子は、あなたに同意してほしいの」

「だって九条和也って、いちばん怖いのは叔父であるあなたでしょ」

九条裕也は鼻で笑った。

「よく考えるな。俺に悪役をやらせる気か」

天城澪は九条裕也の肩に頭を預け、柔らかい声で尋ねた。

「それで、どうするつもり?」

「向こうが頼んできたなら、叶えて...

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