第97章

木平成彦は、思わず目を見開いた。

――それって、天城澪に手を出すなってことか?

でも彼女、もう九条和也とは別れたんじゃなかったのか。

なのに、どうして鈴石誠士はあんな言い方を……。

疑問が次々と頭をよぎり、口を開いて問いただそうとした、そのとき。

コンコン。

ノックの音がして、木平成彦は言葉を飲み込んだ。

「いい。君はもう戻れ。さっき言ったこと、忘れるな」

鈴石誠士は淡々と告げ、木平成彦を外へ出した。

廊下で待っていたのは天城澪だった。彼女は木平成彦の姿を見つけると、ふわりと微笑む。

木平成彦が視線を落とすと、澪の手には数枚の図面。鈴石誠士と打ち合わせに来たのだろう。

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