第294章

まもなく、七沢聡が汗だくで駆けつけてきた。七沢雅の姿を見つけるなり、息を切らして尋ねる。

「愛乃は?」

「まだ救急処置室。さっき看護師さんに聞いたんだけど、手術になるかもしれないって」

七沢聡は両手を腰に当て、荒い呼吸のまま処置室の扉を見つめた。胸の奥で、ただ祈る。――頼む、どうか、何事もないでくれ。

十数分後、処置室から看護師が出てきて七沢聡を見つけると、すぐに声をかけた。

「岡崎愛乃さんのご主人ですか。いま産婦さん、至急手術が必要です。こちらへ」

「帝王切開、ですよね? ……大丈夫なんですか」

「ご心配なく。状態は落ち着いています」

七沢聡は案内されるまま手続きを進め、同...

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