私たちは来ます

ソリア視点

大広間へ向かう道のり、一度も息をしていなかったように思う。

大理石の床に、私たちのブーツの音がやけに大きく響き渡る。ヴァレクの指先が一度だけ、私のそれに触れた。何でもないことのように装った、ほんの僅かな、隠された接触。けれど、彼の手が震えているのが分かった。私たち二人とも、震えていた。内も、外も。

「ふりをして」と、シエラが私に囁いた。「目で笑うの。背筋を伸ばして。吐くんじゃないわよ」

「ああ、来たか」黒曜石の玉座に、とぐろを巻く蛇のようにゆったりと腰掛けながら、ルシアンが滑らかに言った。「一番いいところは、最後に取っておいた」

私は答えなかった。ただわずかに頭を垂れる...

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