フューリー

ヴェイルリクス・ドレイクンホルト視点

「角笛を鳴らしやがれ」俺は唸り、天空の間に踏み込んだ。ガラスが窓枠でガタガタと震える。「合図を送れ。炎を吐く者、山の広間に隠れている翼を持つクソ野郎ども、全員だ。今すぐだ」

使者たちが怯えた鳥のように散っていく。俺は動きを止めなかった。止められるはずがなかった。もし止まれば、また感じてしまうだろう。彼女の不在という重みを。胸を刃で抉られたかのような、断ち切られた番いの絆の灼けるような痕を。

エロウェン。俺の女神。俺の女王。だというのに、俺は奴らを止めることができなかった。

『彼女のためならば、空から星々を引きずり下ろしてやろう』ライガーが俺の頭の中...

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