イージス・プロトコル

ピアース・ゴッドウィン視点

モンタナ州、ブラックロック山脈、ザ・クルーシブル

硫黄と焦げ土の匂いが、香水のように壁にこびりついている。大半の者にとっては不快な香りだが、俺にとっては陶然とするものだ。ルシアンの血溜まりはまだ湯気を立てており、どす黒い赤色で、我々の最後の儀式の代償を思い出させた。三つの命を無駄にしても、召喚は成らず。だが失敗とは、革新のために支払うべき通行料にすぎない。

俺は軍議のテーブルの首席に置かれた黒曜石の椅子に深くもたれかかり、指を組んで、ポータルが空間を裂いて開く際の揺らめく空気を鋭く見つめていた。魔力は荒々しく、切迫している。誰かが怯えている。結構なことだ。

ケ...

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