第52章 キャサリンを拒む

クロエの笑い声が喉の奥で引っかかった。目を見開いたまま、信じられないものを見るようにエヴァを見つめる。

壊されるはずだったドレスは、無残に死んだのではない。むしろ――別の魂を宿して、生き返っていた。

ドアの向こうから、場内を仕切るスタッフの切羽詰まったカウントが飛ぶ。

「トリ準備! 10秒カウント!」

エヴァが長い脚を踏み出す。黒いハイヒールが床を打ち、カツ、カツ、と妙に耳に残るリズムを刻んだ。彼女は真っすぐレオの前へ行く。

「どけ」

吐き捨てるだけの二文字。

レオの心臓が、ひゅっと縮んだ。

若い女の身体から、セバスチャンと同じ種類の――上に立つ者の冷たい殺気が立ち上っていた...

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